ハイ ダイナミック レンジ(HDR)カラー グレーディング

配信向けに Rec.2020/S-Log3 色空間のカラー グレーディングを調整してから、ハイダイナミック レンジ(Rec.2020/S-Log3、Rec.2020/HLG、またはRec.2020/PQ)または標準のダイナミック レンジ(Rec.2020 または Rec.709)色空間に変換するためのワークフローを以下に示します。


  1. HDR カラー グレーディング用に Catalyst Prepare のオプションを以下のように調整します。

    1. [オプション] ボタン をクリックします。

    2. [作業色空間] ドロップダウンリストから、Rec.2020/S-Log3 (HDR) を選択します。

    3. [Rec.2020/S-Log3][作業色空間]ドロップダウン リストでを選択すると、SR Live for HDR  コントロールが表示され、次のような、標準ダイナミック レンジ コンテンツとハイダイナミック レンジ コンテンツの変換が可能になります。

      SR Live metadata source

      次のように、[SR Live メタデータ ソース]ドロップダウン リストから設定を選択し、SR Live メタデータ処理の実行方法を選択します。

      • [SR Live メタデータ ソース][なし] に設定し、[SR Live の設定を手動で調整]をオフにすると、SR Live メタデータ処理が実行されなくなります。

      • [SR Live メタデータ ソース][なし]い設定し、[SR Live の設定を手動で調整]をオンにすると、表示コントロールに関する SR Live メタデータ処理のみ実行されます。

      • [SR Live メタデータ ソース][クリップ]に設定し、[SR Live の設定を手動で調整]をオフにすると、標準ダイナミック レンジ コンテンツとハイダイナミック レンジ コンテンツの変換時に現行クリップのメタデータ設定が使用されます。

      • [SR Live メタデータ ソース][クリップ]に設定し、[SR Live の設定を手動で調整]をオンにすると、標準ダイナミック レンジ コンテンツとハイダイナミック レンジ コンテンツの変換時に現行クリップのメタデータ設定と手動コントロール設定が使用されます。詳しくは、"Adjust SR Live settings manually."

      • [SR Live メタデータ ソース][外部ファイル]に設定し、 [SR Live の設定を手動で調整]をオフにすると、標準ダイナミック レンジ コンテンツとハイダイナミック レンジ コンテンツの変換時に外部の .srm ファイルのメタデータ設定が使用されます。

      • [SR Live メタデータ ソース][外部ファイル]に設定し、[SR Live の設定を手動で調整]をオンにすると、標準ダイナミック レンジ コンテンツとハイダイナミック レンジ コンテンツの変換時に外部の .srm ファイルのメタデータ設定と手動コントロール設定が使用されます。詳しくは、"Adjust SR Live settings manually."

      • [SR Live メタデータ ソース][クリップ][外部ファイル]に設定されている場合、Catalyst Prepare は、SR Live メタデータ値がクリップに存在しない場合でも、Sony デバイスが生成したクリップに対し SR Live の推奨値を使用します。

        [SR Live メタデータ ソース][外部ファイル]に設定されている場合、選択されているファイルの値が SR Live のデフォルト値として使用されます。

      Adjust SR Live settings manually

      [SR Live の設定を手動で調整]スイッチを有効化すると、 SDR gain, SDR kneeおよびBlack adjustment スイッチを使って、標準ダイナミハイダイナミック レンジ コンテンツの変換時の設定を手動でコントロール可能になります。

      [SR Live メタデータ ソース][クリップ][外部ファイル]に転送し、[SR Liveの設定を手動で調整]をオンにすると、クリップのメタデータと手動コントロール設定が変換に使用されます。

      [ロード]ボタンをクリックすると、選択されたクリップから設定がロードされ、SDR gain, SDR kneeおよびBlack adjustmentが、クリップ設定に合致するように設定されます。その後、設定を手動で微調整することが可能で、その調整した設定が変換に使用されます。

      コントロールをダブルクリックすれば、設定をデフォルト値にリセットできます。[SR Live メタデータ ソース][外部ファイル]に設定されている場合、選択されているファイルの値が SR Live のデフォルト値として使用されます。

      [SR Live 設定]は、次の場合に適用されます。

      • [出力色空間]ドロップダウンが[プレビューと同じ][外部モニターと同じ]に設定されている状態で Rec.2020/S-Log3、S-Gamut3/S-Log3、S-Gamut3.Cine/S-Log3 か Sony RAW/X-OCNのソース クリップを Rec.2020/S-Log3、Rec.2020/HLG、Rec.2020/PQ か SDR 形式にエクスポートする場合。

      • When exporting Rec.2020/HLG clips to Rec.2020/HLG or SDR formats when the Output color space drop-down is set to Same as preview or Same as external monitor.

      • When exporting Rec.2020/PQ clips to Rec.2020/PQ or SDR formats when the Output color space drop-down is set to Same as preview or Same as external monitor.

      • When exporting SDR clips to Rec.2020/S-Log3, Rec.2020/HLG, Rec.2020/PQ, or SDR formats when the Output color space drop-down is set to Same as preview or Same as external monitor.

      When [SR Live メタデータの使用]および[SR Live の手動設定]を無効した場合、色の管理はデフォルト設定を使用し、SR Live 処理は行われません。

      オプションで[出力色空間]Rec.2020/HLG AIR MatchingRec.2020/HLG(bypass OOTF)Rec.2020/PQ AIR Matching、またはRec.2020/PQ(bypass OOTF)に設定されている場合、SR Live 処理は行われません。

      変換モード

      [外部ファイル][SR Live メタデータ ソース]ドロップダウン リストで選択されている場合、Conversion mode セクションには、選択されている外部の .srm ファイルの変換設定が次のように表示されます。

      • Conversion mode には、ファイルの HDR/SDR 変換モードが表示されます。

      • HDR look には、ソース HDR  コンテンツに適用される、ファイルの見た目に関する設定が表示されます。

      • HDR black compression には、低輝度時の見た目を改善するための黒圧縮が有効化されているかどうかが表示されます。

      SDR gain

      スイッチを有効にすると、Gain スライダをドラッグして、SDR コンテンツを読み込む場合、SDR 形式にエクスポートする場合、または SDR ディスプレイで表示する場合に適用されるゲインを選択することができます。

      たとえば、スライダを -6.0 dB に設定すると、SDR コンテンツを読み込む場合に +6.0 dB(2.0x)のリニア ゲインが適用され、SDR 形式にエクスポートする場合または SDR ディスプレイで表示する場合に -6.0 dB(0.5x)のリニア ゲインが適用されます。

      ブラック レベル調整

      ブラック レベルを調整するには、[Black adjustment]スイッチを有効にします。

      • Master black スライダをドラッグしてマスター ブラック レベルを調整します。

      • HDR black offset スライダをドラッグして、HDRコンテンツの Master black の値にオフセットを適用します。

        Master blackHDR black offset の値は、HDRC-4000 HDR プロダクション コンバーター ユニットの設定と一致する必要があります。

        HDRC-4000 では、[SETTING MODE][SONY SYSTEM CAMERA][ABS mode][enabled]に設定する必要があります。

      ガンマ設定

      [外部ファイル][SR Live メタデータ ソース]ドロップダウン リストで選択されている場合、Gamma セクションには、選択されている外部の .srm ファイルのガンマ設定が次のように表示されます。

      • Table には、ファイルのガンマ表が表示されます。

        ハイパーガンマ値を選択した場合は、[SDR gain]値を手動で調整する必要があります。

        • Hyper 1:SDR gain を5.0 dB 上げる。たとえば、クリップの元の SDR ゲイン値が -6.0 dB の場合、-1.0 dB の SDR  ゲイン値に対して SDR  ゲインを 5.0 dB 上げる必要があります。

        • Hyper 2:SDR gain を 8.0 dB 上げる。たとえば、クリップの元の SDR ゲイン値が -6.0 dB の場合、2.0 dB の SDR  ゲイン値に対して SDR  ゲインを 8.0 dB 上げる必要があります。

        • Hyper 3:SDR gain を 3.0 dB 上げる。たとえば、クリップの元の SDR ゲイン値が -6.0 dB の場合、-3.0 dB の SDR  ゲイン値に対して SDR  ゲインを 3.0 dB 上げる必要があります。

        • Hyper 4:SDR gain を 6.0 dB 上げる。たとえば、クリップの元の SDR ゲイン値が -6.0 dB の場合、0.0 dB の SDR  ゲイン値に対して SDR  ゲインを 6.0 dB 上げる必要があります。

      • Step には、ガンマ強度が段階的(0.35 から 0.90)に表示されます。

      • Level には、ガンマ強度のアナログ値が -100 から 100 の範囲内で表示されます。

      SDR knee

      HDR  コンテンツを SDR 形式にエクスポートする場合または SDR ディスプレイで表示する場合に、RGB 出力ゲインにニー カーブを適用するには、SDR knee スイッチを選択します。SDR gain 設定によってリニア ゲインが適用されると、ニー カーブによって中間色やハイライトを維持することができます。

      Sony HDRC-4000 HDR プロダクション コンバーター ユニットでニー パラメータを使用する場合は、HDRC-4000 で ABS モードを有効にして、R、G、B の値を確認してください。一致するように、Catalyst Prepare で値を調整します。異なる R、G、B の値を使用することは、サポートされていません。

      • カーブのニー ポイントの位置を調整するには、Point スライダをドラッグします。

      • ニー ポイント上のカーブのスロープを調整するには、Slope スライダをドラッグします。

      • 出力画像のカラー濃度を調整するには、SDR knee saturation スイッチを選択して、Level スライダをドラッグします。彩度を上げることで、ニー カーブ周囲の彩度を下げて補正することができます。

      White clip

      [外部ファイル][SR Live メタデータ ソース]ドロップダウン リストで選択されている場合、White clip セクションには、選択されている外部の .srm ファイルのホワイト クリップ設定が次のように表示されます。

      White clip には、HDR  コンテンツを SDR 形式にエクスポートする際か SDR ディスプレイで表示する際にホワイト クリップ レベルが使われるかどうかが表示されます。

      Level には、ホワイト クリップ レベルが次のように表示されます。0 がデフォルト設定で、設定値を下げるとホワイト クリップ レベルが下がり、設定値を上げるとホワイト クリップ レベルが上がります。

      インスペクタの[ファイル]タブには、選択したクリップの SDR  ホワイトクリップSDR  ホワイト クリップ レベル の設定が表示されます。

      HDR knee

      [外部ファイル][SR Live メタデータ ソース] ドロップダウン リストでが選択されている場合、HDR knee セクションには、選択されている外部の .srm ファイルの HDR ニー カーブに関する情報が表示されます。この HDR ニー カーブは、HDR  コンテンツを HDR 形式にエクスポートする場合か SDR ディスプレイで表示する場合に輝度(Y)に適用されます。HDRニー値は、SDR出力に一致するように明るさを調整します。

      Sony HDRC-4000 HDR プロダクション コンバーター ユニットでニー パラメータを使用する場合は、HDRC-4000 で ABS モードを有効にして、R、G、B の値を確認してください。一致するように、Catalyst Prepare で値を調整します。異なる R、G、B の値を使用することは、サポートされていません。

      • Point には、カーブのニー ポイント位置が表示されます。

      • Slope には、カーブ上のカーブのスロープが表示されます。

    4. [プレビューの色空間]ドロップダウン リストから、Catalyst Prepare ビデオ プレビュー ウィンドウの色空間を選択します。

      ほとんどの場合は、コンピュータ モニタの[Rec.709]を選択します。または、スコープを使用してビデオをチェックするには、他の設定を選択することができます。詳しくは、"色調整用のクリップ/クリップ リストのロードと、波形、ヒストグラム、およびベクトルスコープ モニタの構成."を参照してください。

    5. [外部モニタの色空間]ドロップダウン リストから、外部モニタの EOTF(Electro-Optical Transfer Function)設定に一致する設定を選択します。

      AIR Matching(Artistic Intent Rendering)またはバイパス OOTF 設定を使用すると、外部モニタのプレビューとレンダリングされたクリップの外観を同じにすることができます。

      S-Log3(Live HDR)EOTF を使用する場合にモニタで AIR Matching を使用する

      Sony BVM-X300 バージョン 2.0 モニタ設定:

      • 色空間: ITU-R BT.2020

      • EOTF: S-Log3 (ライブ HDR)

      • Transfer Matrix: ITU-R BT.2020

      • Catalyst Prepare の[オプション]メニューで、[外部モニタの色空間]ドロップダウン リストから[Rec.2020/S-Log3]を選択します。

        これらの設定を使用してマスタリングされたコンテンツと、AIR Matching によって HLG または PQ にレンダリングされたコンテンツは、HLG または PQ モニタまたはテレビ上で同じ外観になります。

      S-Log3(HDR)EOTF を使用する場合にモニタでバイパス OOTF を使用する

      Sony BVM-X300 バージョン 2.0 モニタ設定:

      • 色空間: ITU-R BT.2020

      • EOTF: S-Log3(HDR)

      • Transfer Matrix: ITU-R BT.2020

      • Catalyst Prepare の[オプション]メニューで、[外部モニタの色空間]ドロップダウン リストから[Rec.2020/S-Log3]を選択します。

        これらの設定を使用してマスタリングされたコンテンツと、バイパス OOTF によって HLG または PQ にレンダリングされたコンテンツは、HLG または PQ モニタまたはテレビ上で同じ外観になります。

      HDR メディアを SDR 色空間に変換する

      HDR メディアを標準のダイナミック レンジ色空間に変換すると、次の設定を使用して、Rec.2020/S-Log3 グレーディングを維持することができます(HDR 色空間のダイナミック レンジが BT.709 ガンマ曲線にクランプされます)。

      • [オプション]メニューで、[作業色空間][Rec.2020/S-Log3 (HDR)]に設定します。

      • [オプション]メニューで、[SDR ゲイン]スイッチ[SDR knee]スイッチを有効にし、コントロールを調整して、SDR 形式にエクスポートする場合または SDR ディスプレイで表示する場合に適用されるゲイン カーブとニーカーブを選択します。

      • [オプション]メニューで、ビデオ プレビューの[プレビューの色空間][Rec.709]または[Rec.2020]に設定します。

      メディアを標準のダイナミック レンジ色空間に変換すると、次の設定を使用して、オリジナルの HDR メディアのダイナミック レンジをさらに維持することができます。

      • [オプション]メニューで、[作業色空間][Rec.709]に設定します。

      • インスペクタで、[変換先]色空間を[709(800)][HG8009G33]、または[HG8009G40]に設定します。

    6. [外部モニタ デバイス]ドロップダウン リストから、Sony BVM-X300 などの Rec.2020 色再現域と HDR 輝度曲線をサポートするモニタに接続されているデバイスを選択します。

    7. [モニタ解像度]ドロップダウン リストから外部モニタに適切な解像度を選択します。

  2. Catalyst Prepare]ウィンドウの上部にある整理ボタンをクリックしてメディア ブラウザを表示します。

  3. メディア ブラウザ内のクリップをダブルクリックすると、編集するクリップがロードされます。クリップをロードする際、クリップに保存されている色補正の設定がロードされます。

    色補正は、[編集]モードでのみ使用できます。

  4. Catalyst Prepare]ウィンドウの下部にある[色の調整]ボタンをクリックします。このモードでは、[Catalyst Prepare]ウィンドウに波形/ヒストグラム/ベクトルスコープ モニタ、ビデオ プレビュー、およびビデオの色を調整するためのカラー コントロールが表示されます。

    波形/ヒストグラム/ベクトルスコープ モニタ、およびビデオ プレビュー ウィンドウで、カラー値を調整したときの変化をモニタできます。詳しくは、"色調整コントロールの編集."を参照してください。

  5. [インスペクタ]ペインが表示されていない場合、ツール バーの[インスペクタ]ボタン をクリックして表示します。[色の調整]ワークスペースでは、[インスペクタ]ペインにカラー グレーディング設定を調整するためのコントロールが表示されます。

  6. 色を調整するには、[インスペクタ]ペインのカラー ホイールとコントロールを使用します。詳しくは、"色調整コントロールの編集."を参照してください。

  7. 設定を 3D LUT ファイルとしてエクスポートするには、[Catalyst Prepare]ウィンドウの下部にある[ツール]ボタン をクリックし、メニューから[色設定のエクスポート]を選択します。

    詳しくは、"色補正の設定のエクスポート."